2024/06/16 17:11

今年は岩手県で貝毒が猛威をふるっています。

岩手県内各地でホタテやカキ、アサリ、ホヤなどの出荷を自粛しています。
僕も2年かけて育ててきたホヤが出荷時期を迎えているのですが、我慢しているところです。
ただこの貝毒、岩手県では主に震災後から出始めたということもあり、何点か誤解があります。
そこで今回は貝毒についてちょっとだけ解説していこうと思います


1. 貝が貝毒になる!
実はこれは嘘です!貝以外も貝毒になるんです。
これは貝毒の原因について考えてみればわかります。
貝毒の原因物質を作るのは、アレクサンドリウム属をはじめとした一部の植物プランクトンです。
濾過食性の二枚貝は植物プランクトンを餌としているため、その貝毒原因物質をもったプランクトンを食べることで二枚貝も毒化してしまうのです。
そのため、他の濾過食性の動物も貝毒を有することがあります。その一例としてホヤが挙げられます。
※ホヤは貝ではないですからね!

2. 貝毒になっても火を通せばは大丈夫
上にも書いたように、貝毒とは貝が毒を持つことではありません。
あくまで、サキシトキシンやゴニオトキシンといった貝毒原因物質を有する植物プランクトンを食べることで、二枚貝などが毒化することを貝毒というんですよね。
「カキは熱すれば食べても大丈夫」と言われますが、これはノロウイルスなどによるもので、貝毒とは別の原因だからです。
ウイルスや細菌は熱に弱いものがほとんどなので、熱して食べば大丈夫ですし、タンパク質系の毒(エイの毒など)も変性してしまうので、熱せば大丈夫です。
ですが、この貝毒の原因物質であるはサキシトキシンやゴニオトキシンはタンパク質ではなく、熱しても変性せずしたがって毒性を保ったままです。

貝毒と一口に言いますが、なかなか奥が深いものです。
これだけでは伝えきれないこともあるので、今後も貝毒について記事にできればと思います。